図書ログ

主に少女小説の感想置き場。

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』 米原万里

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
2004/06/25
著者:米原万里
by ヨメレバ

【あらすじ】共産主義派の父親の仕事の関係で、9~14歳までをチェコのソビエト学校で過ごしたマリ。ロシア語通訳として活躍する30年後、当時の同級生を探して東欧に向かうが……エッセイ小説。

まだソ連を盟主に東側国家が社会主義だった頃の1960年代、共産主義派の父親の仕事の関係で、9~14歳までをチェコのソビエト学校で過ごした筆者マリさんのエッセイ。日本へ帰り、ロシア語通訳として活躍していた30年後、当時の同級生を探して東欧に向かうエッセイ集です。テレビの企画だったのかな。
香穂さんの年間ベストから手に取ってみました。

この中欧・東欧諸国というのが馴染みが薄く、私にはちょっと難しかったです。地図やwikiを見ながら読みました。でも馴染みが無いから新鮮で面白かった~。
西洋より東側にある、チェコやルーマニア、ユーゴスラビアなど、冷戦時代はロシアと共に社会主義の東側陣営と呼ばれていた諸国が舞台です。作中で美男の産地と言われていたユーゴスラビア国は現在にはもう無いみたい。

日本でいうところの小学校高学年~中学2年生までを、父親の仕事でチェコにあるソビエト学校に通っていた筆者・マリ。
当時は英語と同じくらい、第2外国語としてロシア語を習う所も多かったようです。
大人になってソ連が崩壊し、当時ソビエト学校時代に仲の良かった同級生のことが気にかかり、チェコ周辺まで会いに行くというストーリーです。
30年後の再会シーンを見ると、面白く書かれていた小学校は超エリート学校で、同級生は実は要人の娘だったりしたことが分かります。英語も喋れない私には……登場人物の頭が良すぎてとてもまぶしい……。みんな3か国語以上喋ってる……。

ヤースナやリッツァの潔さが好きだけど、アーニャや、アーニャに同志と呼ばれて怒る大人たちを見ていると、何故、社会主義が縮小していったのかが何となく分かる気がして印象的でした。
それとは別に、例えば休日に宿題は出さない、だとか、才能はみんなの宝であり妬み引きずりおろすものでないことなど、日本の価値観とは違って魅力的なところもたくさんあって面白かったです。
個人的には、「牛乳の生産で追いつけ追い越そうな」の軽快なフレーズが頭から離れなくなって困りましたw

『傍観者の恋』(フェアリーキスレーベル) ナツ

傍観者の恋 (フェアリーキス)
2017/03/27
著者:ナツ
イラスト:あき
by ヨメレバ

【あらすじ】貿易商メイスフィールド家の令嬢レイチェルは、片想いの相手ノアが実の姉のアリシアを愛していることを知り、病弱なアリシアの療養を理由に、契約結婚の駆け引きをもちかけるが……

尊いものを読みました……。

片想いの友人・ノアが実の姉のアリシアを愛していることを知り、主人公のレイチェルがとある交換条件でノアに契約結婚を持ちかける……という仮面夫婦小説です。
今年のお気に入りの1冊になりそう。とてもオススメ。

好きな人が実の姉を愛していると知ったヒロイン・レイチェルの思考や行動がかなり病んでいて面白かった~!
ノアがアリシアに恋してると見せかけて(実際恋してたんだけど)、ノアとアリシアがお互いにレイチェルをめぐって独占欲や嫉妬し合っていたりして可愛い。でもじれったくて、アリシアの手紙には号泣し、ノアとレイチェルが両想いになってからは転げまわりました。その両想いになる過程も丁寧で、仲の良い夫婦のフリをする時なんかはあまりの甘さにジタバタしました。オースティンが絡むシーンはどれもお気に入り。
あきさんのイラストもステキで、読み終わってから表紙を見ると、あまりの尊さに拝むしかないです。アリシア……。゚( ゚´д`゚ )゚。

私はこの小説を電子書籍で読んだのですが、フェアリーキスレーベルって、てっきり同じ会社から出ているTLレーベルのロイヤルキス文庫やチュールキス文庫の仲間だと思っていて……、つまりいつこの2人のベッドシーンが始まるんだろう(はじまるのか?)と思いながらずっと読んでいたのでした。ははは…。
もちろんフェアリーキスレーベルは、健全な少女小説レーベルなのでそんなシーンはありません。すばらしい純愛(やや病み)でした。

『手塚先生の恋愛指南 恋に堕ちたら赤点です!』 日高砂羽

手塚先生の恋愛指南 恋に堕ちたら赤点です! (コバルト文庫)
2016/11/01
著者:日高砂羽
イラスト:くまの柚子
by ヨメレバ

大正ロマンな表紙と、正気じゃない感じのするあらすじに惹かれて購入。正気じゃない感じのハーレム小説(固定の相手あり)です。

主人公・環の通う私立桃園高等女学院、通称・桃女には、超イケメン教師軍団による口説きの授業「恋愛指南」があり、桃女の生徒はその「恋愛指南」の口説き文句をお断りしながら精神力を培う……というストーリーです。
ハーレムではなく、最初から最後までヒロインとヒーローの決まっている安心ラブコメ。
先生方の異常な熱量、同人誌に対する情熱など、異様な熱気に包まれていて面白かったです。
イケメン先生からの口説きのオンパレードなのに、ギャグにしか見えなくて全然ときめかない…!笑

桃女には環が幼少の頃からお兄さまと慕っている手塚先生が勤務しており、心を鬼にして手塚先生の恋愛指南もお断りするわけですが、言葉の端々から手塚先生も環のことを憎からず思っているのが伝わってくるので安心して読めました。
安心して読めるんですが、ここでも変な下ネタを突っ込んでくるので特にときめかずで……?(*^_^*)
先生が代わる代わるエスコートしてくれるラストの「補修」授業は圧巻でした。

コバルトでこういうネタ小説も楽しいなと思う1冊でした。
ギャグにしか見えないのでキャラクターにあまりときめかなかったな……、という所がまた思い返してじわじわきます…。
残念なイケメンというカテゴリーかもしれない。

『雪侯爵の銀灯師 みせかけ夫婦と王宮の庭』 白川紺子

雪侯爵の銀灯師 みせかけ夫婦と王宮の庭 (コバルト文庫)
2016/09/30
著者:白川紺子
イラスト:紫真衣
by ヨメレバ
【あらすじ】銀灯師として幼い頃よりヴィクトル侯爵に仕えるエミーリア。ある日、国王の命令で結婚をしなければならなくなったヴィクトルは、エミーリアを妻に指名し、結婚をしたふりをすることになるが、エミーリアにはヴィクトルと結婚できない理由があり……

シリーズ2巻なんですが、話が繋がっていないということと、評判がとても良かったので1巻よりも先に2巻を読んでしまいました。

幼い頃から仕えるヴィクトル侯爵と、偽装を結婚をすることになった銀灯師のエミーリアだったが、結婚報告に訪れた王宮で力が暴走し、事件を起こしてしまう。王宮の庭を壊してしまい、魔界の門を開けてしまったエミーリアとヴィクトルが、門を護っていた魔術師の魂を探すことになり……というストーリーです。

ヴィクトルのことが好きなのに結婚できない理由のあるエミーリアと、理由を知っているけれど一緒にいるために知らないふりをしているヴィクトルの両片想いがじれったくてとても良かったです。
何より、エミーリアが迷いを断ち切るシーンの、諦める痛みと、飲み込んで自分のしたいようにする痛みと、周囲や良心から謗られる痛みについてのモノローグにとても共感しました。
月光を紡ぐ描写もキレイでお気に入り。

ラストに短編2本が収録されていて、その2本もとても良かったです。
本編でアロイスの魂はどうなるんだろうと思っていたので、「おやすみわたしの魔術師さん」には泣きました。

国王とリラも身分差を越えてサラッと結婚していたけど、この2人にもじれったいストーリーがあるのかも。。リラがなかなか強そうな感じで好きです。

『ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェルト』 永瀬さらさ

ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェルト (角川ビーンズ文庫)
2016/12/01
著者:永瀬 さらさ
イラスト:緒花
by ヨメレバ
【あらすじ】ドイツェン王国宮廷第二楽団のオーディションに合格したミレアは、出生を偽ってでも有名になって探したい人がいる。しかし利害の一致から第一楽団の指揮者アルベルトから嘘の婚約を提案され、受けることになり……

面白かったー!
2016年のお気に入り少女小説です。

幼い頃にバイオリンをくれた少年を探すため、出生を偽って宮廷楽団に入ったバイオリニスト・ミレア。
19世紀あたりのドイツがモチーフのようなドイツェン王国の楽団もの少女小説です。とても良かった~。

出生を偽って宮廷楽団に入ったミレアに対し、残り30ページまで大衆の前でミレアの出生の秘密が暴かれるなど、かなり過酷な展開でハラハラするのですが、展開の厳しさが大きい分ラストの演奏シーンや父親のエピソードにカタルシスがあって泣きながら読みました。特にミレアの父親のくだりはまさかすぎるし、一番泣いたシーンです。

ミレアと超ツンツンなアルベルトにもニヤニヤしました。
「天使様に会ったら絶対に分かるもん!気付くもん!」と本人の前で豪語するミレアが本当に間抜けすぎて…(*^_^*)
でも最後の1文を見るに、結局アルベルトは最後まで自分がミレアの探し人だと明かさなかったんですよね。くうう、そこは明かしてもいい気がする!でも、別人を装って生涯応援を続けるのも良すぎてずるい! お幸せにね…(*ノД`*)