図書ログ

主に少女小説の感想置き場。

『パブリックスクール』 樋口美沙緒

 

【あらすじ】エドワードと礼は英国パブリックスクール・リントン学園に通う戸籍上の兄弟。礼はエドワードから、学園では誰とも話さず1人で居るように命令されていたが、ある日礼のスケッチを見たオーランドから、演劇の授業で舞台の背景画を頼まれて……

パブリックスクール物が読みたい気分だった時に「パブリックスクール」で検索して購入した本です。これはすごく良い歪んだ兄弟もののBLでした。表紙も美しい~。

英国のパブリックスクール・リントン学園に入学した日本人の礼が、戸籍上の兄・エドワードから、学園では誰とも話さず1人で居るように命令されている……という、歪んだ兄弟愛のストーリー。

この説明の時点で兄のエドが弟の礼をめちゃくちゃ愛しているのが読者には伝わってくるのですが、礼はエドから嫌われていると思っています。「でも自分にはエドだけ居ればいいし、愛してる……」という、献身と両片想いと独占欲がたまらない設定でした。
実際はこの説明よりもっと冷酷な感じの展開です。(周囲よりもエドがひどい。)

私は相手だけが居ればいいというような共依存が大好物なので、1巻~2巻前半あたりまでがとても好きです。
箱庭からの成長がテーマの作品らしく、最後の方はあまりにも礼の精神が強くなってしまって!
最初の頃の「エドだけが居れば良かった頃のいじらしい礼」が恋しくなってしまいました。
いやでもハッピーエンドで良かったです。

個人的には、エドも1巻のラストの頃の鬼畜な勢いのまま最後まで攻めてほしかったです。1巻のラストの食堂のシーンが好きすぎるので。
2巻の最後なんて、エドが弱気になりすぎていて……!
1巻の頃のエドと礼はどこへ行ってしまったの~。(成長しました)
性格が変わったといえば、良い意味で性格が変わった後半のギルが大好きです。

残念だったのは、電子書籍版には本文の挿絵が収録されていなかったことです。挿絵、美しいだろうなあ。ギルやジョナスはどんなに美人なんだろう。

『オーダーは探偵に』 8・9巻 近江泉美

 

【あらすじ】学生の間で流れ始めた、「あたまのよくなる薬」を追いかける悠貴と聖。どうやら2人が仲違いすることになった3年前の未解決事件と関わりが深いようで……

バイトの女子大生・美久と高校生探偵・悠貴の喫茶店ライトミステリー。
8、9巻は、死人も犯人もいるいつもとはちょっと違ったミステリーの前後編でした。現在進行形の事件を追いながら、悠貴と聖の過去の事件が明かされていくという構成で、とても面白かったです。

常に聖の方が真相に一歩リードしている感じで、特に美久を助けに来たシーンなんかはあまりにもカッコよくて、あやうく聖派に寝返りそうでした。
でもラストの悠貴との膝枕のシーンが甘くて可愛くて、すぐに悠貴派に出戻りました。
そうだよね、悠貴くんだって美久ちゃんを助けに行きたかったよね。うんうん。それに事件の真相を解明したの悠貴くんだったしね。うんうん。悠貴くんはもう自覚ありなのかな~かわいい。
あと今まで私は3年前の事件のせいで聖と悠貴の仲が悪くなったのかと思ったのですが、過去編を読んだら出会った当初からもともと犬猿の仲で笑ってしまいました。(≒ツンデレ)

「頭の良くなる薬」なんて如何にもその筋の怖そうなバックが居そうな薬で、2人が捕まった時はどんな恐ろしい目に合うのかハラしていましたが、個人の善意の犯罪だったというオチも、シリーズ的にちょうど良かった気がします。
柿園先生が生きていたら、副作用の無いところまで薬を完成することが出来たのかなあ。出来るわけないか。
3巻の登場人物が重要な役として絡んでくるのですが、その辺りはぼんやりとした数年前の記憶で読了。

これでやっと悠貴くんと聖くんも前に進めるかな、と思ったら最後に怪しい電話が……。
個人的には悠貴くんは一度好きになったら一途な子だと信じてるので、(あと稀早ちゃんへの恋心はもともと自覚していなかったっぽく感じます)稀早ちゃんは生きていても、亡くなってしまっていてもどっちでも良いんですけど、これからの展開も楽しみです。
そう、悠貴くん、信じているから……。

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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』 米原万里

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
2004/06/25
著者:米原万里
by ヨメレバ

【あらすじ】共産主義派の父親の仕事の関係で、9~14歳までをチェコのソビエト学校で過ごしたマリ。ロシア語通訳として活躍する30年後、当時の同級生を探して東欧に向かうが……エッセイ小説。

まだソ連を盟主に東側国家が社会主義だった頃の1960年代、共産主義派の父親の仕事の関係で、9~14歳までをチェコのソビエト学校で過ごした筆者マリさんのエッセイ。日本へ帰り、ロシア語通訳として活躍していた30年後、当時の同級生を探して東欧に向かうエッセイ集です。テレビの企画だったのかな。
香穂さんの年間ベストから手に取ってみました。

この中欧・東欧諸国というのが馴染みが薄く、私にはちょっと難しかったです。地図やwikiを見ながら読みました。でも馴染みが無いから新鮮で面白かった~。
西洋より東側にある、チェコやルーマニア、ユーゴスラビアなど、冷戦時代はロシアと共に社会主義の東側陣営と呼ばれていた諸国が舞台です。作中で美男の産地と言われていたユーゴスラビア国は現在にはもう無いみたい。

日本でいうところの小学校高学年~中学2年生までを、父親の仕事でチェコにあるソビエト学校に通っていた筆者・マリ。
当時は英語と同じくらい、第2外国語としてロシア語を習う所も多かったようです。
大人になってソ連が崩壊し、当時ソビエト学校時代に仲の良かった同級生のことが気にかかり、チェコ周辺まで会いに行くというストーリーです。
30年後の再会シーンを見ると、面白く書かれていた小学校は超エリート学校で、同級生は実は要人の娘だったりしたことが分かります。英語も喋れない私には……登場人物の頭が良すぎてとてもまぶしい……。みんな3か国語以上喋ってる……。

ヤースナやリッツァの潔さが好きだけど、アーニャや、アーニャに同志と呼ばれて怒る大人たちを見ていると、何故、社会主義が縮小していったのかが何となく分かる気がして印象的でした。
それとは別に、例えば休日に宿題は出さない、だとか、才能はみんなの宝であり妬み引きずりおろすものでないことなど、日本の価値観とは違って魅力的なところもたくさんあって面白かったです。
個人的には、「牛乳の生産で追いつけ追い越そうな」の軽快なフレーズが頭から離れなくなって困りましたw

『傍観者の恋』(フェアリーキスレーベル) ナツ

傍観者の恋 (フェアリーキス)
2017/03/27
著者:ナツ
イラスト:あき
by ヨメレバ

【あらすじ】貿易商メイスフィールド家の令嬢レイチェルは、片想いの相手ノアが実の姉のアリシアを愛していることを知り、病弱なアリシアの療養を理由に、契約結婚の駆け引きをもちかけるが……

尊いものを読みました……。

片想いの友人・ノアが実の姉のアリシアを愛していることを知り、主人公のレイチェルがとある交換条件でノアに契約結婚を持ちかける……という仮面夫婦小説です。
今年のお気に入りの1冊になりそう。とてもオススメ。

好きな人が実の姉を愛していると知ったヒロイン・レイチェルの思考や行動がかなり病んでいて面白かった~!
ノアがアリシアに恋してると見せかけて(実際恋してたんだけど)、ノアとアリシアがお互いにレイチェルをめぐって独占欲や嫉妬し合っていたりして可愛い。でもじれったくて、アリシアの手紙には号泣し、ノアとレイチェルが両想いになってからは転げまわりました。その両想いになる過程も丁寧で、仲の良い夫婦のフリをする時なんかはあまりの甘さにジタバタしました。オースティンが絡むシーンはどれもお気に入り。
あきさんのイラストもステキで、読み終わってから表紙を見ると、あまりの尊さに拝むしかないです。アリシア……。゚( ゚´д`゚ )゚。

私はこの小説を電子書籍で読んだのですが、フェアリーキスレーベルって、てっきり同じ会社から出ているTLレーベルのロイヤルキス文庫やチュールキス文庫の仲間だと思っていて……、つまりいつこの2人のベッドシーンが始まるんだろう(はじまるのか?)と思いながらずっと読んでいたのでした。ははは…。
もちろんフェアリーキスレーベルは、健全な少女小説レーベルなのでそんなシーンはありません。すばらしい純愛(やや病み)でした。

『手塚先生の恋愛指南 恋に堕ちたら赤点です!』 日高砂羽

手塚先生の恋愛指南 恋に堕ちたら赤点です! (コバルト文庫)
2016/11/01
著者:日高砂羽
イラスト:くまの柚子
by ヨメレバ

大正ロマンな表紙と、正気じゃない感じのするあらすじに惹かれて購入。正気じゃない感じのハーレム小説(固定の相手あり)です。

主人公・環の通う私立桃園高等女学院、通称・桃女には、超イケメン教師軍団による口説きの授業「恋愛指南」があり、桃女の生徒はその「恋愛指南」の口説き文句をお断りしながら精神力を培う……というストーリーです。
ハーレムではなく、最初から最後までヒロインとヒーローの決まっている安心ラブコメ。
先生方の異常な熱量、同人誌に対する情熱など、異様な熱気に包まれていて面白かったです。
イケメン先生からの口説きのオンパレードなのに、ギャグにしか見えなくて全然ときめかない…!笑

桃女には環が幼少の頃からお兄さまと慕っている手塚先生が勤務しており、心を鬼にして手塚先生の恋愛指南もお断りするわけですが、言葉の端々から手塚先生も環のことを憎からず思っているのが伝わってくるので安心して読めました。
安心して読めるんですが、ここでも変な下ネタを突っ込んでくるので特にときめかずで……?(*^_^*)
先生が代わる代わるエスコートしてくれるラストの「補修」授業は圧巻でした。

コバルトでこういうネタ小説も楽しいなと思う1冊でした。
ギャグにしか見えないのでキャラクターにあまりときめかなかったな……、という所がまた思い返してじわじわきます…。
残念なイケメンというカテゴリーかもしれない。