図書ログ

読んだ本の感想ブログ。少女小説やラブコメ、探偵と相棒、因縁のふたりの話が好きです。


カテゴリー: 又吉直樹 の記事一覧
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『火花』 又吉直樹

火花
2015/03/11
著者:又吉直樹

by ヨメレバ

【あらすじ】新人お笑い芸人の徳永は、熱海の夏祭りの会場で漫才の仕事に行った際、神谷の漫才を聞き衝撃を受ける。徳永はその日の夜、勢いで神谷の弟子にしてもらうが……

お笑い芸人の又吉直樹さんの、芥川賞を獲った話題の本です。
主人公の徳永と、憧れの芸人・神谷との関係に萌えの予感を感じて購入しましたが、結果的には号泣しながら読みました(;_;)
登場人物の「新人お笑い芸人」という設定から、すでに破滅へのカウントダウンをビンビンに感じますが、夢の終わりに向かってストーリーが進んでいく様子は、涙無しには読めませんでした。

そして「駄目な竜宮城」が分かりすぎて辛すぎる\(^o^)/
(この道を進んで良いかも分からず、その世界の努力の仕方で走り続け、終わった時にはたくさんの思い出と共に、自分の年齢だけが進んでいる…。主人公が新人お笑い芸人の世界を振り返って、「駄目な竜宮城だったのかもしれないけど」って例えるところがとても上手いなぁと思うし好きです。)

ラストで主人公の憧れだった神谷が、とんでもない破滅を迎えます。
借金の形にそうなってしまったのか、自分で「もうこれしかない」と思ってそうしてしまったのかは分かりませんが、すごい事になっています。
普段の自分ならHOMO…とか思ってニッコリしてしまうところですが、こうすれば笑いが取れると思った神谷の気持ちも、真摯に説教する徳永の気持ちも痛いほどに分かるので、もう涙が止まりませんでした(;_;)
道を踏み外しても、「それでもその人生を生きていくしかない」というのがリアルで、最後のピョンピョン飛び跳ねる神谷に少し救われます。
(道を踏み外すというのは、芸人を目指すことではなくて、返せない借金をしてまで遊びに行ったりとかそういうことです)