図書ログ

主に少女小説の感想置き場。

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『霊応ゲーム』 パトリック・レドモンド

霊応ゲーム (ハヤカワ文庫NV)
2015/05/08
著者:パトリック・レドモンド
訳:広瀬順弘
by ヨメレバ

【あらすじ】真面目で気の弱い主人公のジョナサンは、寮生や教師からいじめられていた。ある日、教師にいじめられている所を助けてくれた、クラスの一匹狼のリチャードと友人になるが、次第にリチャードはジョナサンに執着し、彼の周りの人間を排除するようになり……

クレイジーサイコ・ブロマンス……。

面白かったー!徹夜で読みました。
1954年・戦後のイギリス、パブリックスクールに通う男子生徒の友情を描いたサイコホラー小説で、イギリス、パブリックスクール、行き過ぎた友情、執着などの要素に惹かれて購入しました。

ジャンルはホラー小説らしく、交霊術などの要素もあります。
読んでる最中は2人の友情が強烈で、交霊術は添え物くらいにしか思えないんですが、ぞっとする悲しいラストを迎えます。

真面目で気の弱い、いじめられっ子の主人公のジョナサンが、教師にいじめられている所を助けてくれたクラスの一匹狼のリチャードに強くあこがれ、友だちになります。
一匹狼だったリチャードが、だんだんジョナサンに執着するようになり、彼をいじめていた人や彼と親しい友人たちを排除していく、というストーリー。

だんだん心を寄せていく、寄宿学校らしい2人の耽美な友情にうっとりしながら読んでいましたが、だんだん一匹狼だったリチャードの独占欲と友情が怪しい方向に……。
<霊応ゲーム>の時に肩を抱いたシーンや、リチャードの実家で2人で寝ていたシーンは幸福でドキドキしたのに。
ニコラスの嫉妬や、距離が近付いていく2人の関係にゴロゴロ転がりながら読みました。

真相は、3人が<霊応ゲーム>で呼び出してしまった「霊的な何か」が存在して、転落死や火事やラストの死を招いたということでしょうか。
もう1回読めば、もっと文章の端々に「何か」の存在を読み取れるのかなあ。(全然気付かなかった顔)
ニコラスにも降霊していたようだから、最後にリチャードを殺したのはニコラスの想いだったのかも。

ジョナサンがあんなに憧れて、なついて、リチャードも力尽くでジョナサンを守ろうとしていたのに、最後にジョナサンがリチャードは全然憧れるような人間じゃなかったと言ってしまうのが悲しすぎて……しばらくは読み返せないかなぁと思います。
たぶん、心の底から失望されるシーンがわりと苦手な気がする…。ラストで信用を回復するなら大丈夫なんですけど。

う。そりゃあリチャードは独占欲が強くて、性格も悪くて、モラハラのサイコホモだったけど、本文中でジョナサンのリチャードへの憧れが終わった今でもリチャードがカッコよく思えるのは、やっぱり他人の評価を気にせず堂々として、友人がいじめられていたら颯爽と助けられるような部分への憧れがあるからなのかなぁと思います。

来世では善良なホモに生まれ変わって幸せになろうね……。
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『犯罪』 フェルディナント・フォン・シーラッハ

犯罪
2011/06/11
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
訳:酒寄進一
by ヨメレバ

ドイツで刑事弁護士として活躍している筆者の短編集です。
舞台はおおむねドイツですが、色々な国の人が出てきます。展開が予想できず、どの短編も印象的でした。
最初のページに、ドイツと現代日本では司法と裁判制度が違うという注釈がありますが、日本人や日本製の品物もちょいちょい出てくるし、話も面白いので日本でブームになるのも分かります。

生まれながらにして自分の力ではどうにもならない状況になっていた人、気がついたら自分ではどうしようもない状況になっていた人、この本にはそういう側面も多く書かれていて、胸がしめつけられました。
もちろん本人がどうしようもない性格の人もいっぱい出てきて、そういう人たちの人生の冒険小説のような部分もあり、面白かったです。

内容はどの話も印象的でしたが、泣いた話は「チェロ」と「エチオピアの男」で、読んでいてワクワクしたのは「緑」と「タニタの茶碗」と「幸運」が特に印象に残っています。

「チェロ」
私はこういう大きな愛を持った不器用な父親を読むといつも泣いてしまいます。
本人は子供のために生きてきたのに、子供に嫌われている描写が悲しくて(;_;)
子供の小さい頃のビデオを見ていたシーン、お別れ会の開催の目的、自殺のシーン…どれも泣けてしまって切なかったです。
音楽の才能があったのに、弟のために台無しになってしまった姉も切ないです。
才能のある人が周囲のどうしようもない事情で駄目になってしまうのは本当に見ていて辛いので…。

「タニタの茶碗」、「幸運」、「エチオピアの男」は、猟奇的な描写もあるものの、ハッピーエンドを感じるラストで好きです。
特に「幸運」の2人が好き。
「タニタの茶碗」のラストでマノリスが言う、ギリシアは沈没するの件の言葉が昨今の状況を予言しているようで印象的でした。
「緑」は失踪の真相は笑ったし、犯人がかかっていた数字の見える精神病と、ラストの一言が印象的でした。

ところでとあるサイトで見たのですが、「サマータイム」の犯人は本当はボーハイムの方だったってマジですか…びっくり。
それに、巻末に解説が入っている本もあるんですね。そちらを買えばよかったな。 (この表紙は解説が無い方)

『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
(1999/10)
ダニエル キイス

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6歳程度の知能しか持たなかった32歳のチャーリーは、とある脳の実験の結果、高いIQを持つ天才へと進化していくが……。

キニアン先生が大天使。

6歳程度の知能しか持たなかった32歳のチャーリーが、脳への実験の結果、高いIQを持つ天才へと進化していくストーリーで、チャーリーの頭の変化につれ、人々の心境や立場の変化が繊細に書かれていて胸が締め付けられました。
あらすじは知っていたので覚悟をして読みましたが、最後の数ページは泣いてしまいます。
アルジャーノンと学会を抜け出して一緒に暮らしはじめるシーンが好きです。

チャーリーがアリスに一途だったらもっと好みの作品でしたが、頭が良くなったチャーリーが、私たちの望んでいない方向へいってしまう所がとてもリアルなんだと思います。
チャーリーは人間なのだから、純粋である必要はないし、お酒に溺れるし、女の人の裸があったら覗くし、二股をかけたりする……。うーん……やっぱりこの辺のチャーリーは幻滅だったかもw

思いやりや優しさを伴わない知識は無意味だというようなセリフが印象的でした。
知識があって、想像力があって、愛情があるから、人間は物語を作ることがてきるんだなぁと思いました。

SF作品として書かれている今作ですが、昭和の頃には日本でも脳外科という人格改善のための脳の手術が行われていたと言うことで驚きました。
いつかもっと技術と科学が進化した時に復活するのかもしれません。いえ、今日もどこかでそんな動物実験が行なわれているのでしょうね、現実の世界で……。

『10月はたそがれの国』 レイ・ブラッドベリ

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
(1965/12/24)
レイ・ブラッドベリ

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病的な登場人物たちのゾッとするようなエピソードが、幻想的に綴られた短編集です。
どこかのレビューで見た言葉ですが、「言わんこっちゃない」って感想がすごく的確。笑
ちょっと頭のおかしい、悲しい人たちが主人公の物語だけど、幻想的な文章と独特な雰囲気で最後まで惹き込まれました。
私にとっては読んだことが無いような雰囲気の小説で、とても衝撃的でした。
タイトルがロマンティックで好きです。

以下、印象的だった話について感想。

「こびと」
1番最初の短編なのですが、あまりにも「こびと」が可哀想で衝撃的で号泣してしまいました。
この話を最初に読んだから、1冊読むのに半年もかかった気がします。
私も「こびと」に自分だけの鏡をプレゼントしてあげたい…。

「みずうみ」「死者」
探し人が変わり果てた姿で帰ってくるという点で共通しているのですが、どちらも幻想的で、ちょっとうるっとしてしまいました。好きです。

「びっくり箱」
この話、私、いまだに意味が分からないんですけど、先生と母親は同一人物だったということなのでしょうか。(たぶん違う) さっぱり意味が分からなかったんですが、最後に主人公が「死ぬのはうれしい!」と叫びながら街を駆け抜けていくシーンはすごく好きです。

「二階の下宿人」
これは下宿人は人間ではなかったけれど、彼よりも人間の子供の方が怖いっていうお話なのでしょうか。。?そして、世間を騒がせていた犯人は下宿人だったということで良いのでしょうか。

「ある老婆の話」
おばあちゃん つよい。
この可愛いおばあちゃんは、ちゃんと人間の姿の幽霊になったのですよね…?
ブラッドベリの場合、椅子に座ったゾンビが気丈に話してるパターンもありうるから油断できない…。

「集会」
うわぁ…こういうのは心に痛いです…最後に飛ばせてあげたかった~。

「ダッドリー・ストーンのふしぎな死」
ここに出てくるダグラス君は、二階の下宿人を殺したダグラスくんなのかしら?
とはいえ最後の短編で、このお話が大好きです!
ダッドリー・ストーンの考え方や生き方がすごく好きで、風がふきぬけるようなお話でした。
私はどちらかと言うとジョンなのですが…笑。
人生は1度しかないので、1つの物事を続け抜くことも、色々な物事を楽しむことも、どちらも素晴らしい人生だと私は思います。

『春にして君を離れ』 アガサ・クリスティー

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2004/04/16)
アガサ・クリスティー

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ミステリーじゃないアガサクリスティ。
一人の母親とその家庭について書かれた小説です。

女としての自信に満ちた母親の一人称で進んでいく小説で、読んでいるうちにだんだん主人公が家族たちから嫌われていることが分かる構成。この構成すごいw
話の構成は面白くて一気に読みましたが、ラストに救いがあると思って読んでいたから、違う方向のどんでん返しに「えええっ」となりました(´~`;)
ラストで彼女の思考がかなり良いところまで行っていたのに…!無かったことに…!
こういうリアルでドロッとした女の心情みたいなお話は、私はちょっと苦手なのかも…と思いました。

『シャーロック・ホームズの冒険』 コナン・ドイル

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)
(1953/04/02)
著者:コナン・ドイル

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シャーロック・ホームズシリーズ、刊行順に読んでいるので3作目です。

短編集なのですが、50ページ×10本、計450ページとボリュームたっぷり。
ストーリー1本1本に依頼人・犯人・被害者の人生と人間関係が描かれているので、情報量に脳みそが追いつかない時もあり、1日1~2本くらいのペースで読みました。
歴史上実際にあった宗教や秘密結社の事件がいっぱい出てくるけど、インターネットどころか電話やカラー写真も無かった時代にこれほど色々な国の史実が出てくるのがすごすぎます。
本や新聞が情報源なのかなぁ……すごいな~。

魔法みたいに解決することもあれば、間に合わなくて依頼人が殺されてしまったり、逃げられたり……最後まで結末が読めないのが面白いです!
間に合わなかった『オレンジの種』や『ボヘミアの醜聞』、危機一髪の『まだらの紐』や『ぶな屋敷』……ハラハラドキドキしながら読みました。
「まだらの紐」の意味が怖すぎる…。

今までホームズとワトソンって探偵と助手って言うから、主従関係(探偵事務所の雇用関係)でイメージしていたのだけど、実際は無二の親友みたいな関係で、すごく心をくすぐられます。
謎を追いかける2人が好奇心でワクワクしている様子が、子供っぽくてかわいいです。

←2作目感想/-

『四つの署名』 コナン・ドイル

四つの署名 (新潮文庫)四つの署名 (新潮文庫)
(1953/12/28)
著者:コナン・ドイル
訳:延原謙/改訂:延原展

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美しく不幸な依頼人に付いて不気味な手紙の呼び出し場所に行ったホームズとワトソン。しかし連れて行かれた場所では殺人事件が起こっており、ホームズは自らの推理をもとに犯人を追いかけるが……第2作目。

シャーロック・ホームズシリーズ2作目。
今回は推理よりも追走劇がメインですごく面白かった!
現場を見たホームズがすぐに事件を推理→推理に基づいて犯人を追いかける。…という流れなので、事件の推理の部分は、いきなり情報量が多くてちょっと目がすべります。
でも追走劇の部分は、すごくわくわくしました!船で追いかけるシーン、面白かった~。

このまま男やもめ2人で同居しながらシリーズを続けていってほしかったですのが、ワトソンの恋が成就してしまってちょっと残念(?)。
そしてそれに対するホームズのラストの1行が……
「ぼくにはコカインがあるからいいのさ」って……(^^;
1ページ目からホームズはクスリをきめて幸せそうにしているし、いやはや何と言うか、ゆるい時代ですよねw

←1作目感想3作目感想→

『緋色の研究』 コナン・ドイル

緋色の研究 (新潮文庫)緋色の研究 (新潮文庫)
(1953/06/01)
著者:コナン・ドイル
訳:延原謙/改訂:延原展

amazonKindle版

元軍人である医者・ワトソンはロンドンで奇妙な研究者シャーロック・ホームズと同居生活を送ることになった。この世でただ1人の顧問探偵だと言うホームズのもとに、ある日警官が殺人事件の相談にやってきて……

シャーロック・ホームズシリーズの第1作目。
『英国マザーグース物語』の中ででチラリと出てきたので読んでみたのですが、私もすっかりハマってしまって現在刊行順に読んでいます。
シリーズ1作目なので、ワトソンとホームズが出会い、同居がはじまるところから書かれています。

ホームズが想像していた性格と違って、変人で天才、無邪気で冷静、冷静かと思えば意外に怒りっぽくて自信家で…とても魅力的でした。
犯人逮捕の瞬間にはビックリしたし、犯人の動機が書かれた回想シーンも読み応えがあって凄くわくわくしました!(宗教から透けて見える欲望ェ…(--;))

あと平成に入ってから訳が現代風に手直しされたらしく、文章がとても読みやすかったです。
でも19世紀ロンドンの雰囲気がすんなり頭に入ってくるのは、たぶん少女小説のおかげなんだろうなw

2作目感想→
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