2009.11.04 *Wed
ヴェニスに死す
![]() | 【あらすじ】 初老の作家・アッシェンバッハは、急に強烈な旅行欲にみまわれ、ひとりヴェニスへと旅立った。ホテル・エキセルシオオルのロビーで、ポルトガル語を話す14ばかりの美しい少年の虜になったアッシェンバッハは、少年の姿を探すことに1日の時間の全てを使うようになっていく…… |
五十過ぎの男性が、美少年に恋をする話と聞いて。
主人公は、生真面目で仕事一筋、五十歳で君主より貴族の位を頂き、教科書に作品が載るような著名なドイツの作家。
前半は、そんな生真面目な彼の精神の世界がとつとつと書かれているのですが、これが…むずかしい…!「形態への空虚な厳格な奉仕の中にあるあの温雅な態度」とか…うん、わからん!みたいな。(右に倣えみたいな感じ…?)まあ、ずっとこんな調子なので、目を血走らせて1語1句噛み締めながら読んだので、頭が疲れました。
そしてそんな彼が14歳程度の少年・タッジオを見かけ、そのギリシア像のような完璧な美貌に骨抜きにされ、前半のご高説が全てひっくり返っていく。何しろ彼は、少年に話しかけるどころか微笑み返すことすらできない始末!
心の中で優しく語りかけたり、タッジオの部屋のドアに額をつけて悦に浸っている所とかは、「あ、あぶねえ…」と笑っていられたのですが、終盤の、若さを欲して化粧をしてもらっているシーンなどは、もう主人公がかわいそうで悲しかったです。
船で遭遇した若作りの老人を馬鹿にし、「あこがれは不足した認識の所産」と言いきりながら、一度も話したことのない美少年を追い掛け回し、ついには化粧をし、派手なリボンをつけて出かける……こっけいなんですが、悲しい、そしてなぜかついこのかわいそうな老人に共感してしまう。
化粧をしたその日、タッジオを見失ってひとり広場で座っているシーンと文章が好きです。
美少年は何の比喩なのか、愛と幸福とか、ラストの海のシーンとか、考え出すと止まらないとても面白い本でした。しかし老人ネタに弱い私には悲しすぎる展開だったので★4つ。
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